今年の夏は犬を夏バテさせない!
私たち人間と同じように犬も夏バテになります。犬は全身毛で覆われているうえ、皮膚に汗腺がなく汗をかくことができません。一度体温が上がってしまうとなかなか元に戻らないのです。そのうえ日本の夏は暑いだけでなく湿度もかなり高いですから、犬にとっては夏の暑さはとてもしんどいといえます。愛犬に夏バテで辛い思いをさせないために、犬の夏バテについて考えましょう。
犬の夏バテの症状は?
愛犬が夏バテになったとき症状を悪化させないためにも、飼い主様ができるだけ早く気づいてあげることが大事です。もしものときにすぐ対応できるよう、まず犬の夏バテの症状について知っておきましょう。犬の夏バテは急に悪化するわけではなく、数日~数週間かけて徐々に症状があらわれてきます。
【夏バテの症状:軽度】
- 欲がない
- 動きたがらない
- 元気がない
- だるそうにしている
- 反応が鈍い
- 嘔吐
- 下痢や軟便
- 熱がある
軽度の段階で愛犬の夏バテのサインを見逃してしまうと徐々に症状が重くなっていきます。
【夏バテの症状:重度】
- 持続的な食欲不振
- 体重の低下
- ぐったりして、動こうとしない
- 極度の脱水症状
- 尿結石や腎臓病などの機能障害
犬の夏バテの症状は消化器系に症状があらわれることが多く、もっとも分かりやすい初期症状は食欲不振だと思います。暑い時期に愛犬の食欲が落ちてきた場合は、まずは夏バテを疑っていつもより愛犬を注意深く見ていてあげましょう。
食事で夏バテ対策!
暑い日が続くような時期、犬が食欲不振になることはよくありますので(人間もそうですよね)、いつもより食べる量が減ってもそれほど心配はいりません。いつものドックフードを食べない場合は、茹でた鶏肉・牛肉・野菜を与えてみてください。食欲が出るようメニューを工夫をしながら、愛犬の体力をつけてあげましょう。
夏は水分補給がとても重要です。人間は食事からある程度の水分を摂ることができますが、犬の場合ドッグフードから摂れる水分はほとんどありません。ドッグフードの水分含有率は10%程度です。これではまったく水分が足りていませんので、ドッグフードをふやかしてあげる(肉や野菜の茹で汁や無塩の野菜ジュースをかけてあげるのもおすすめです)・きゅうりなど水分の多い野菜を与えてあげる・缶詰を混ぜてあげるなどして、水分補給を心がけてあげてくださいね。水は切らさないように、愛犬がいつでも新鮮な水を飲めるよう用意しておいてあげましょう。愛犬に尿意が減ったり血尿が出たりするような症状がみられたら、脱水症・膀胱炎・尿路結石の可能性がありますので注意が必要です。
(【参考】→ 【見逃し厳禁】犬の血尿は病気のサイン!放置は危険な理由とは?)
そのまま放っておくと、急性腎不全・循環器障害・消化管潰瘍などさまざまな重篤な症状を引き起こします。犬の夏バテは、早い段階で対処しておけば軽度で済みます。愛犬の様子がいつもと違うと感じたら、迷わず動物病院へ連れて行きましょう。
(【参考】→ 犬の腎臓病予防には手作り食はNG?最適なごはん選びとは?)
生活環境で夏バテ対策!
【室内飼育の場合】
意外かもしれませんが、室内犬も夏バテになります。扇風機だけでは室内に熱気や湿気がこもりがちです。犬がいる場合は扇風機だけというのはおすすめできません。またエアコンがあれば安心というわけでもありません。エアコンを使う場合は、扇風機を回して空気を攪拌したり、冷え過ぎたとき逃げられる場所も確保しておいてあげましょう。室温は25度から28度に保つのが理想です。気をつけたいのが最近エアコンに搭載されている「人感センサー」です。
エアコンの人感センサーが犬を感知せずに停止してしまい、飼い主様の留守中に室内が高温になって愛犬が夏バテになってしまうというケースが報告されているようです。落雷による停電もありますし、室内でエアコンをかけて留守番をさせているからと安心はできません。夏場はできるだけ愛犬に長時間のお留守番はさせないようにしたいですね。
(【参考記事】→ 室内犬が掛かりやすい病気の症状は?原因と治療法とは?)
【室外飼育の場合】
気温ばかりに気をとられがちですが、実は犬はどちらかというと湿気のほうが苦手です。犬小屋はできるだけ気温が低く風通しが良い場所に設置してあげてください。夏バテが起こりやすい時期は、日差しの影響をあまり受けない場所が良いでしょう。体温調節などである程度自由に動けるように、つないでいる紐を長めにしてあげてくださいね。水を飲む回数も増えますので、飲みたいときにいつでも飲めるようにできるだけこまめに新鮮な水を準備しておいてあげましょう。
【散歩】
私たち人間は気づきにくいですが、実際地面をさわって確認していただくと分かると思います。放射熱や日差しの照り返しで地面は想像以上に温度が上がっています。
アスファルトの場合は相当温度が上がっています。犬は頭や心臓が地面に近く、直接足裏が地面に触れていることも考えると、体には大きな負担がかかっているといえます。散歩の時間帯ですが、朝の涼しい時間や夕方を少し過ぎた日差しの影響の心配がない時間帯を選ぶことで、散歩による夏バテを防ぐことができます。暑い日が続くときは、気分転換に水遊びしてあげるのも良いですね。ストレス発散になりますし、夏バテ対策にもなりますよ。
おわりに
夏は楽しいベントがたくさんあります。愛犬を連れてお出掛けする機会もあるかと思いますが、飼い主様は愛犬の様子に十分気をつけてあげてください。愛犬の様子をよく見ながら遊ばせて、気持ち早めに切り上げるようにしましょう。
犬の個体により暑さを感じる感覚が違います。暑い夏の日中や熱帯夜はもちろんですが、気温がそれほど高くなくても湿度が高いと夏バテになりやすいということを覚えておいてください。ごはんをあげてもあまり食べようとしない・だるそうにしているなど、夏バテが起きやすい時期に愛犬にいつもの元気がないようなら、注意深く様子を見ていてあげてください。
夏バテと思われる症状が続くようでしたら、ご自身で判断をされずできるだけ早く動物病院で受診しましょう。大事な愛犬が夏バテにならないよう心がけてあげて、今年の夏を楽しく健やかにお過ごしください。