寝たきりの犬のごはんについて考えよう
老化や体の麻痺などで寝たきりの愛犬を介護されている飼い主様のために、今回は寝たきりの犬のごはんについてお伝えしたいと思います。
寝たきりの犬のごはんで工夫できること
愛犬が寝たきりになったら、毎日のごはんタイムが快適で楽しくなる工夫をしてあげましょう。
>>愛犬が食べやすい介助グッズを活用する
【スプーン】
柔らかめの固形食はスプーンを使いましょう。口当たりの良い離乳食用のシリコン製スプーンがおすすめです。
【シリンジ(注入器)・ドレッシング容器・お菓子作りに使われるクリーム絞り器・スポイド】
シリンジ(注入)は、針がない注射器のようなものです。お水やスープを少しづつ飲ませるときにおすすめです。流動食を与えるときに便利な、先端の口が広い給餌用もあります。ドレッシング容器は、入れるものによって先端を切って調節すると良いでしょう。 喉に詰まらないように、なるべく愛犬の体を起こして支えてあげながら与えてあげてください。起き上がるのが難しいようでしたら、口の脇から舌の上に乗せてあげるようにして、むせないように少量ずつ注入して与えてあげましょう。愛犬の飲み込める量を確認しながら与えるのが良いと思います。
>>愛犬が食べやすい姿勢を考える
【立つことはできないがおすわりができる・伏せの姿勢ができる場合】
できるだけ自分の力で食べさせるようにしましょう。横になった状態よりも、体を起こした方が食事しやすくなります。食べこぼしても良いように、あらかじめペットシーツや小さめのレジャーシートなどを敷いておきましょう。おすわりができる場合は、頭を下げなくても食べられるようにテーブル代わりになるものを用意してあげて、その上にお皿をのせてあげます。頭を支える筋肉が衰えてきますので、食べやすい姿勢になるよう工夫してあげることが必要です。伏せの姿勢ができる場合は、体を支える肘の負担を軽くするため胸の下あたりにクッションのようなものを差し込んであげると、食べやすくなるようです。愛犬が自分から食べようとしないときは、口元まで食べ物を運んであげましょう。横になった状態のままでいると血の流れが悪くなります。可能であれば、食事の時間は頭を持ち上げる姿勢をとるよう心がけてあげたいですね。
【完全に寝たきりの場合】
飼い主様の膝やクッションなどに愛犬の上半身を寄りかからせ、頭を少し起こしてあげます。 大きい子は膝枕でも良いですね。横になった状態よりも、体を起こした方が食事しやすくなります。シリンジ(注入器)・ドレッシング容器・お菓子作りに使われるクリーム絞り器・スポイドを使うと便利です。水や流動食は一気に流し込むと気管に入って危険です。むせないよう様子を見ながら少量ずつ与えてあげましょう。
寝たきりの犬のごはん選びで大切なこと
寝たきりになると動き回っていたころと比べて運動量が減りますし、筋肉量が減ることで基礎代謝が低下しますので、食事量を減らす必要があります。寝たきりの犬にとって肥満は大敵。 以前と同じ量を与えていたら肥満にさせてしまいます。
愛犬自身も以前ほどは、ごはんを欲しがらなくなるかもしれません。食欲不振の症状が続くと、栄養バランスが崩れて健康状態が悪化する原因になります。寝たきりの愛犬のために毎日のごはんで工夫してあげられることを考えてあげたいですね。犬は本来肉食動物ですので、私たち人間以上にたんぱく質を必要とします。筋肉を作るために必要な必須アミノ酸を、良質な動物性たんぱく質から摂るように心がけてあげましょう。
また、消化吸収しやすように工夫することも大切です。噛んで食事をすることは犬にとって大切なことですので 愛犬の様子を見ながらごはんの形状を工夫していきましょう。固形分のある食事から、必要に応じて少しずつペースト状・流動食・スープと変える必要が出てくるでしょう。寝たきりの犬のごはん選びで大切なキーワードは、消化吸収と食欲アップです。
【ドッグフードに愛犬の好みのものをトッピングしてみる】
必ずしも完全手作り食にする必要はありません。ドッグフードに食材をプラスするハーフメイドスタイルに挑戦してみましょう。
【ドッグフーをふやかしてみる】
噛みやすく喉の通りが良くなります。ぬるま湯でも良いのですが、無塩の野菜ジュース・肉や野菜の茹で汁をかけてあげると匂いでさらに食欲がアップします。
【ペースト状・流動食にする】
食べたくないのではなく、食べにくいのかもしれません。うまく飲みこめないようでしたら、すりつぶす・ミキサーにかけるなどしてペースト状や流動食にして与えましょう。固さが自由に調整できる、栄養価の高い介護食も数多く発売されています。
【一回の量を少なくして回数を増やす】
消化にも体力を使います。食べる量が減ったと思われたら、小分けにして食べさせてあげましょう。
寝たきりになることで嗜好に変化が見られる子もいるようです。いつもとは違ったドッグフードや食材を少量ずつ与えてみるのも良いでしょう。愛犬の新しい好物を発見できるかもしれませんよ。
寝たきりになると排便時に使う筋力が衰えて、ウンチが出にくくなることがあります。水分を多く含んだものや食物繊維の含まれるものを意識して摂るようにしましょう。ヨーグルトもおすすめです。ヨーグルトには善玉菌を増やす働きがありますので、腸内環境が整えられて胃腸の働きが良くなります。ヨーグルトは砂糖など余計なものが入っていないプレーンタイプを選んでくださいね。
愛犬の体力が落ちないよう、食べてもらえる工夫をしながら食事管理をしていきましょう。運動ができない愛犬のために、運動の代わりにマッサージやお腹をゆっくりさすって刺激を与えてあげてください。排便が促されます。
おわりに
お散歩や遊びなどお楽しみの時間が少なくなってしまった愛犬のために、毎日のお食事タイムを楽しませてあげる工夫をしてあげたいですね。愛犬が寝たきりになると、飼い主様は今まで以上にお世話が大変になると思いますが、疲れをためないようご家族でお世話を分担したり、訪問介護サービスを利用したり、ネットのペットコミュニティで情報交換するのも良いと思います。大好きな愛犬のためにも一緒にいられる時間を明るく、そして楽しくお過ごしください。